庭や所有地にある木が枯れていたり、大きく傾いていたりすると、倒木事故を防ぐために伐採を検討する必要があります。
しかし、高木や大木の伐採では高所作業車やクレーン、特殊なロープワークなどが必要になることもあり、費用が高額になるケースがあります。
そこで確認しておきたいのが、危険木の伐採に利用できる自治体の補助金制度です。
全国共通で利用できる「危険木伐採補助金」があるわけではありませんが、一部の自治体では、住宅や道路などへの倒木被害を防ぐことを目的として、危険木の伐採費用の一部を補助しています。
2026年度も京都市では対象経費の75%以内・土地1筆あたり上限30万円の支援制度が実施されています。
ただし、庭にある大きな木を切れば誰でも補助金を受け取れるわけではありません。
対象となる危険木の条件や土地、申請者、補助金額、申請期限などは自治体によって異なります。また、多くの制度では伐採工事を始める前の申請が必要です。
この記事では、危険木の伐採に利用できる補助金について、対象となりやすい木の条件、自治体の制度例、補助金額、申請方法、利用するときの注意点まで詳しく解説します。
危険木の伐採に補助金は使える?

結論からいうと、自治体によっては危険木の伐採に補助金を利用できます。
危険木の倒木によって、住宅、道路、電線、鉄道、その他の公共施設などへ被害が発生することを未然に防ぐ目的で、伐採費用を支援している自治体があります。
例えば京都市では、道路や民家などに隣接する森林にある危険木について、一定の条件を満たす伐採費用を補助しています。
南国市でも、住宅や市道への倒木事故を防止する目的で危険木の伐採費用の一部を補助しています。
つまり、危険木伐採の補助金は、単なる庭木整理を支援する制度というより、倒木によって第三者や公共施設などへ被害が及ぶことを防ぐための制度として設けられているケースが多くなっています。
どんな木が「危険木」として補助金の対象になる?

危険木の定義は自治体によって異なります。
そのため、「枯れているから対象になる」「高さが10mあるから対象になる」と一律には判断できません。
枯れている・大きく傾いている木
補助対象となりやすい代表的な状態が、立ち枯れ、著しい傾斜、腐朽などです。
例えば秦野市では、胸高直径20cm以上・樹高5m以上で、立ち枯れまたは傾斜が激しく、住宅や道路、ライフラインへ被害を与えるおそれがある木などを対象としています。
愛川町でも、概ね胸高直径20cm以上・樹高5m以上で、枯損・腐朽・著しい傾斜などによる倒木のおそれがあり、道路や電線などへ被害を及ぼす可能性がある木を対象としています。
住宅や道路などへ倒れる可能性がある木
木そのものの状態だけでなく、倒れた場合に何へ被害を与えるのかも重要です。
例えば南国市では、一定以上の大きさの木で、倒れた場合に樹高と同等の距離内にある他人の住宅または市道へ被害を与えるおそれがあることを条件としています。
そのため、「大きな木だけれど周囲に何もない」というケースより、「傾いた木が隣家の方向へ伸びている」「枯れ木が道路沿いにある」といったケースの方が制度の目的に合致しやすいと考えられます。
対象となる土地が決められている場合もある
ここも非常に重要です。
自治体によっては、どこに生えている木でも対象になるわけではありません。
例えば京都市では、森林法に基づく地域森林計画の対象森林にある危険木が対象です。
坂井市でも、現況地目が「山林」または「保安林」であることが条件となっており、宅地や農地にある樹木は対象外とされています。
一方、自治体によっては個人所有地の危険木を対象とする制度もあります。
「危険な木だから対象になるはず」と判断せず、木がある土地まで含めて条件を確認する必要があります。
危険木伐採でもらえる補助金はいくら?

補助額も自治体によって異なります。
例えば2026年度の京都市では、対象となる危険木の伐採・現場集積にかかる経費について、対象経費の75%以内、土地1筆あたり上限30万円となっています。なお、伐採した木の搬出・処分費は対象外です。
自治体によっては、
・工事費の2分の1
・工事費の3分の2
・一定割合+上限金額
などの方式が採用されています。
そのため、仮に伐採費用が50万円だったとしても、「半額が必ず補助される」と考えることはできません。
補助対象となる工事費そのものに条件が設けられている場合もあります。
危険木伐採の補助金制度の例

自治体によってどのくらい違うのか、実際の制度を見てみましょう。
京都市|危険木等伐採支援事業
京都市では2026年度も「危険木等伐採支援事業」を実施しています。
対象は、地域森林計画の対象森林内にあり、市の危険木判定基準に該当する木などです。
補助額は対象経費の75%以内・土地1筆あたり上限30万円となっています。
ただし、木の所有者であっても、倒木によって所有者以外の住宅へ直接的な被害を与えるおそれがない場合などは対象外となります。
豊田市|危険木伐採事業補助金
豊田市でも、住宅への倒木被害を防止する目的で危険木伐採事業補助金を実施しています。
対象者には危険木がある土地の森林所有者や、倒木被害のおそれがある住宅の居住者などが含まれます。
危険木についても幹周など具体的な条件が設定されているため、申請前の確認が必要です。
藤沢市|危険木伐採等補助金交付事業
藤沢市では2026年5月から、指定された保存樹林内の危険木を対象とした補助制度を実施しています。
対象は、保存樹林内にあり、所有者以外の第三者へ被害を与えるおそれがある危険木です。伐採だけでなく、条件によっては危険回避を目的とした剪定や撤去・処分も補助対象になります。
このように同じ「危険木伐採の補助金」でも、対象となる木や土地、工事内容は大きく異なります。
危険木伐採の補助金を申請する流れ

細かな手続きは自治体によって異なりますが、一般的には次のような流れになります。
1.自治体へ補助制度があるか確認する
まず、危険木がある市区町村のホームページなどで制度を確認します。
「危険木 伐採 補助金 ○○市」
「倒木 伐採 補助金 ○○市」
などで調べると見つけやすいでしょう。
制度が見つからない場合は、農林・環境・道路・公園などを担当する部署へ問い合わせます。
2.対象となる危険木か確認してもらう
補助金を利用する場合、自治体による現地確認や危険木の判定が必要になることがあります。
相模原市でも、申請前に担当課へ連絡し、現場確認を受けるよう案内しています。
自分で「これは危険木だ」と判断しただけでは補助対象にならない場合があるため注意しましょう。
3.伐採業者から見積もりを取る
補助金申請では、伐採費用を確認するために業者の見積書が必要になることがあります。
危険木の伐採費用は、
・木の高さや太さ
・腐朽状態
・住宅や電線との距離
・高所作業車やクレーンの使用
・枝や幹の処分
などによって変わります。
そのため、実際に現場を確認してもらい、見積もりを作成してもらいましょう。
4.必要書類を提出する
自治体によって異なりますが、
・補助金交付申請書
・事業計画書
・見積書
・危険木の写真
・位置図
・土地所有者の承諾書
などを求められることがあります。
土地所有者以外が申請する場合には、伐採について所有者の承諾が必要になる制度もあります。
5.交付決定後に伐採する
ここがもっとも注意したいポイントです。
多くの危険木伐採補助制度では、補助金の交付決定を受ける前に伐採すると対象外になります。
例えば土岐市では、工事前の申請が必須で、実施中・実施後の申請は受け付けていません。
藤沢市でも、すでに伐採作業を行ったものは補助対象外と明記されています。
「危ないから先に切って、あとから補助金を申請しよう」では間に合わない可能性があります。
危険木伐採の補助金申請で注意したいポイント

補助制度がある自治体でも、手続きの順番や条件を間違えると補助を受けられない可能性があります。
伐採する前に申請する
最も注意したいのが申請時期です。
多くの自治体では、「事前相談 → 現地確認 → 申請 → 交付決定 → 伐採」という流れになっています。
例えば愛川町では、申請手続きより前に伐採すると補助対象外になることが明記されています。坂井市でも、事業実施後の申請は対象外です。
危険だからといって先に業者へ伐採してもらうと、補助金を利用できなくなる可能性があります。
まず自治体へ相談してから伐採業者へ正式に依頼するという順番を意識しましょう。
予算の上限にも注意する
補助制度は年度ごとの予算で実施されていることがあります。
例えば秦野市では、年度途中でも予算の上限に達した場合は受付終了となります。京都市の2026年度制度も、受付期間内であっても予算に達した場合は終了するとしています。
危険木の伐採を検討している場合は、早めに制度の有無を確認しましょう。
危険木でも補助金を使えないケースがある

危険な状態の木だからといって、必ず補助金の対象になるわけではありません。
単なる庭木の整理や剪定
「大きくなったので小さくしたい」「庭をすっきりさせたい」といった通常の庭木管理は対象外になることがあります。
愛川町の場合、危険木の伐採・撤去・処分は対象ですが、剪定や枝払いのみは補助対象外です。
一方、藤沢市のように一定の条件を満たした危険木なら剪定も対象となる制度があります。
このように、同じ作業でも自治体によって扱いが異なるため確認が必要です。
自分の建物だけに倒れる可能性がある
制度によっては、第三者への被害防止を目的としているため、自分の住宅だけに被害が及ぶ木は対象外になることがあります。
京都市では、危険木の所有者以外の住宅へ直接的な被害を与えるおそれがない場合、原則として危険木の所有者は交付対象外です。
対象地域や土地の条件を満たしていない
「森林内の木に限定する」「保存樹林に限定する」など、土地について条件が設けられている制度もあります。
そのため、自宅の庭にある危険木へ利用できるかどうかは、所在地の自治体へ確認することが確実です。
補助金がなくても早めに伐採を検討したいケース

補助金は費用負担を軽減できる制度ですが、安全確保より補助金を優先するものではありません。
例えば、
・木が突然大きく傾いた
・完全に枯れている
・幹や根元が大きく腐っている
・台風で幹に亀裂が入った
・太い枝が折れかかっている
など、倒木や落枝の危険性が高い状態では早急な対応が必要になることがあります。
緊急性が高い場合は、自治体と専門業者へ相談し、安全確保を優先して対応方法を確認しましょう。
特殊伐採でも補助金を利用できる?

住宅のすぐ横にある高木などでは、通常の伐採ではなく「特殊伐採」が必要になる場合があります。
ロープワークや高所作業車、クレーンなどを使用して、木を上部から少しずつ切り下ろす方法です。
特殊伐採そのものを一律に対象外としているわけではなく、制度で定められた「危険木の伐採費用」に該当するかどうかがポイントになります。
例えば相模原市では、対象となる危険木について専門事業者へ委託する伐採・撤去等の費用を補助対象としています。
一方、京都市では危険木の伐採と現場集積は対象ですが、搬出・処分など対象外となる費用もあります。
そのため特殊伐採を依頼するときは、見積書のどの項目まで補助対象になるのかを自治体へ事前に確認しましょう。
危険木伐採の補助金に関するよくある質問

自宅の庭木でも補助金を使えますか?
自治体によります。
個人所有地の危険木を対象とする制度もありますが、森林や保存樹林など対象となる土地を限定している制度もあります。
まず所在地の自治体に危険木伐採の補助制度があるか確認しましょう。
伐採した後から補助金を申請できますか?
多くの制度では難しいと考えておいた方がよいでしょう。
交付決定前に伐採すると対象外になる制度があるため、伐採前の確認・申請が重要です。
枝の剪定にも補助金を使えますか?
制度によって異なります。
愛川町では剪定・枝払いのみは対象外ですが、藤沢市では一定条件の危険木について剪定も対象に含まれています。
まとめ|危険木を伐採する前に自治体の補助金を確認しよう
危険木の伐採では、自治体によって補助金を利用できる場合があります。
ただし、全国共通の制度ではなく、
・危険木の状態
・木の大きさ
・土地の種類
・住宅や道路との位置関係
・申請者
・対象となる作業
などの条件は自治体ごとに異なります。
また、特に重要なのが伐採する前に制度を確認することです。
先に伐採してしまうと補助対象外になる制度も少なくありません。
危険木が見つかったら、まず自治体へ補助制度の有無や申請条件を確認し、必要に応じて専門業者から見積もりを取得しましょう。
「自治体への確認」と「専門業者による現地確認」を早めに行うことが、安全確保と費用負担の軽減につながります。
