庭の木を切りたい!近隣トラブルを防ぐ正しい伐採手順

庭の木が伸びすぎてしまったり、隣家に枝が入り込んでしまったりすると、「そろそろ切らないと…」と思いながらも、音や木片の飛散、境界問題など、近隣トラブルが不安で動けないという方も多いはずです。

実際、庭木の伐採はただ木を切るだけでは済まず、
・騒音
・枝の落下
・越境問題
・木の倒し方
・安全対策
・法律(民法233条など)

といった複数のポイントを押さえておかないと、思わぬトラブルにつながる可能性があります。

この記事では、伐採専門のプロが
「庭の木を安全に、そして近隣と揉めずに切るための手順」
をわかりやすく徹底解説します。

これから自分で伐採しようとしている方はもちろん、業者に依頼するか迷っている方にも参考になる内容です。

目次

庭の木を切るときに起きやすい近隣トラブルとは?

庭木の伐採で多いのが、思ってもいなかった近所とのトラブルです。

騒音トラブル(チェーンソー音など)

チェーンソーや高枝切りばさみの音が響き渡りやすく、早朝・休日は特に苦情に発展しやすい。

落ちた木片・枝が隣家に侵入

伐採時に枝が隣の敷地に落ちると、破損や汚れでトラブルになる。

越境枝に関する誤解

隣家に入り込んだ枝は「勝手に切っていい」わけではありません。

見た目が急変したことへの不満

丸坊主のように切りすぎると景観面で不快に思われることも。

倒木・破損事故

素人伐採によるフェンス破損・車への落下事故が多い。

伐採は「近隣との関係を悪くしないための配慮」が非常に重要です。

木を切る前に必ず確認すべき法律・ルール

伐採のトラブルは法律が関係するケースが多いため、最低限の知識を押さえておきましょう。

民法233条(越境枝の扱い)

隣家に枝が越境していても、勝手に切ってはいけない
所有者に切除を請求するのが原則。

民法235条(隣地立入権)

作業に必要な場合、やむを得ない事情があれば隣地へ立ち入ることが可能。
ただし、事前説明が必須。

自治体の条例

・保存樹
・景観条例
・高さ規制
など、地域によって切れない木があるため要確認。

境界線の確認

伐採時に「ここはうちの土地?」「根が境界を越えてる?」と揉めることもあるので、念のためチェックを。

樹木が共有の場合

土地所有者が複数いる場合はすべての同意が必要。

近隣トラブルを防ぐための事前準備

木を切る前の「ひと手間」で、トラブルはほぼ回避できます。

作業日の挨拶

前日〜1週間前に
「音が出る作業をします」
と伝えるだけで印象は大きく変わる。

養生(飛散防止)の準備

・ブルーシート
・ネット
・落下防止マット
など、隣家側の養生があると安心。

駐車スペースの確保

業者が来る場合はトラックの場所も必要になる。

作業時間の配慮

・早朝
・日曜の午前
・夕方遅く
などは避けるのがマナー。

相談のひと言で印象が変わる

「ご迷惑おかけします」
この一言が本当に大きい。実際、多くのトラブルはこれで防げます。

自分で木を切ってもいい?判断基準

高さや環境によって、自分で切るのが危険な場合があります。

自分で切ってもよいケース

・高さ3m未満
・手ノコや高枝切りばさみで対応可能
・周囲に建物・車がない
・細い枝の整理だけ

自分では危険なケース(プロへ依頼すべき)

・高さ4m以上
・幹の太さ15cm以上
・電線が近い
・隣家との距離が近い
・枯れ木・傾いた木(特に危険)
・重心が偏っている木

素人伐採のリスク

・木の倒れる方向を誤り事故になる
・隣家を破損し高額賠償
・自身のケガの可能性が高い
・枝が想定外の方向へ落下する

安全性を最優先に判断することが大切です。

正しい伐採手順|庭木を安全に切るステップ

プロの伐採現場に基づき、初心者でも理解しやすいステップで解説します。

STEP1:木の状態を確認する

・病気や枯れの有無
・傾き
・枝ぶり
・幹の強度

STEP2:倒す方向を決める(倒せる場合)

・建物・フェンス・車を避ける
・安全なスペースへ倒す計画を立てる

倒すスペースがない場合は特殊伐採(輪切り)方式が必要。

STEP3:養生(保護シート・ネット)を設置

隣家や自宅の装飾品・窓などを守るため、先に養生する。

STEP4:枝から切る(上 → 下へ)

・重心が狂わないよう少しずつ
・太い枝は受け切り(落ちないように)
・ロープで支えることもある

STEP5:幹を切る

・受け口 → 追い口の基本
・倒れる方向をコントロールする
※危険なので初心者は無理しないこと

STEP6:切り株の処理

・切り株を残す
・抜根する
用途によって選択。

STEP7:後片付け・処分

伐採時はゴミが大量に出るため、事前に処分方法を確認。

業者に依頼する場合の費用相場

木の大きさと作業環境で大きく変わります。

高さ別の伐採費用

・3m未満:5,000〜15,000円
・3〜5m:15,000〜30,000円
・5〜7m:30,000〜50,000円
・7〜10m:50,000〜100,000円
・10m以上:100,000円〜(特殊伐採)

抜根(根の撤去)

・小〜中木:10,000〜40,000円
・大木:50,000円〜100,000円

追加費用

・ゴミ処分
・高所作業車
・作業員追加
・電線・隣家保護のための特殊伐採

業者によって見積り条件が違うため、作業範囲の記載が明確かを必ず確認。

業者選びで失敗しないポイント

正しい業者を選べば、作業もスムーズでトラブルも起きにくいです。

見積りに「作業範囲」が細かく書かれているか

伐採・枝払い・処分・清掃まで含まれているか確認。

追加料金の条件が明確か

曖昧なまま依頼すると当日トラブルになる。

保険加入の有無

伐採は事故リスクがあるため、賠償責任保険は必須。

写真だけで決めない

現地確認がある業者が安心。

極端に安い業者には注意

追加料金で高額になる「安い罠」も存在する。

伐採後の注意点

切り株から再生する木に注意

クス、ヤナギ、ニセアカシアなどは切っても再生するため、抜根や薬剤処理が必要。

切り株を残す場合の注意

・邪魔にならない位置か
・腐食でシロアリを呼ばないか
・庭の用途と合っているか

伐採後のスペース管理

日当たりが変わるので、雑草が生えやすくなることも。

まとめ|正しい事前準備と手順で近隣トラブルは防げる

・伐採は近隣トラブルに発展しやすい
・法律(越境枝)とマナーを理解することが大切
・自分で切るのは3m未満の木が目安
・危険木は必ずプロへ依頼
・正しい手順で行えば安全に作業できる

木を切るのは大きな作業ですが、事前準備と正しい知識があれば安全に進められます。
不安な場合や高所作業が必要なときは、伐採のプロに相談するのがおすすめです。

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